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徒然音楽日記(新) Saxophone - Yuki Yoshio

日々の活動の記録

XASの魅力について語る

ー普段目に見えるものが耳で聴くことしかできなかったら、これほど美しい響きが聴こえるのか?ー

とは、「エフのエニグマ」のプログラムの1曲、クセナキスのXASに対するプログラムノートだ。


この曲はラッシャーサクソフォンカルテットの委嘱で1987年に書かれた。
この曲、自分は本当に好きなのだが、なかなかに様々な方面の方々から驚かれてしまう曲だった。
(そして演奏者を本当に泣かせる難曲である)しかし、


サクソフォン四重奏というジャンルにおいて、これほど美しい音楽は、後にも先にもしばらく出てこないんじゃないかと思う。

堅牢な音楽と音程構造、万華鏡のように美しく彩られていくリズム差の場面や、不確定性に依存する記譜。

そして、何よりもパワーがすごい。
この楽譜から生まれる想像しきれないほどのfの力強さ、音域をとにかく幅広く使ったこの音楽で表現される世界観は、他のどの音楽とも同じジャンルに属すに値しない。迫力がものすごい。気迫というか。
例えば、緊張感と音程の釣り合わせなど、最高。
XASは100小節で完結する音楽なのだが、74小節目から81小節目冒頭までに、最も緊張感の高い音程をユニゾンで組み合わせる、しかもその前は公倍数を利用した複雑なリズムとか、不確定のとにかくユニゾンと最も遠いリズムと音程を駆使していたのに…。音楽の緊張のクライマックスを100のうち74から81に完璧に持ってくること、これは物語の終盤の部分で最もクライマックスになるべき部分と完全に一致する。

かといって、情熱的な音楽なのかと言葉では考えても、このクセナキスの音楽は絶対的に「建築」されているーー先ほどのクライマックス部分のタイミングのくだりを読んでいただければ納得していただけると想像するがーー。その全く温度を感じさせない「建築性」と、しかし実際に音を出した時に感じる「感情性」という、相入れないような二つの要素が混じり合うところに、この音楽を語り尽くせないほどの魅力が生まれるのだ。

21日の本番


この日には、初めてのコンチェルトを経験させていただいた。
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東京学芸大学金管楽器専攻生によるコンサート、ブラスアンサンブル・ユニコーンの本番で、カルドーソのダブルコンチェルティーノを金管アンサンブルバックに、今月学芸大を卒業した西部くんと共に演奏させていただいた。
ちなみに、大宮光陵高校の同期、竹之下滉とも3年ぶり?の共演。アドニスでやっぱり一緒にコンチェルトを演奏したね。それもまた、この演奏が自分にとって感慨深いものとなった要因にあると思う。
西部くんをはじめとして、一緒に演奏してくださった皆様に深く感謝を申し上げたい。

このカルドーソのコンチェルティーノを2度目だったが、西部くんと初めて共演した曲でもあり、テナーサックスで吹いた初めてのコンチェルトということもあり、自分にとって様々な思い入れを持つ曲を、このような華やかな舞台で演奏出来たことは本当に自分の中で大きな経験になった。
金管アンサンブルの中で負けずにテナーを鳴らして吹くということは、物理的な音量のパワーバランスなどの心配もあったが、聴衆の皆様に無事音が届いていれば幸いである。
自分の中ではもちろん、まだまだ満足とはいかなかったが、色々な方々に励ましの言葉やお褒めの言葉も頂けて、アルトはもちろんだが、テナーや他の楽器の可能性を追求することもどんどん積極的に行なっていきたいと思える良いきっかけとなったと思う。

とても楽しい曲なので、これからも積極的に演奏していきたい曲だ。

虹は幸せの予兆らしい

2つの本番のことを。長くなったので2つの記事に分けると思う。

Shining第10回作品展本番 1_180322_0003


まず20日。
この日はオリンピックセンターにて作曲の会「shining」の本番だった。

作曲の会「Shining」は、特に吹奏楽の分野において、若い作曲家内で互いに交流し、共同で作品発表の場を設けることによって作曲レベルの向上を図ることを目的とした作曲集団

だそうだ。素晴らしい。意欲的だし生産的だし。いいなあ。

そんな会にテナーで呼んでいただいた。吹奏楽の本番。
同年代のみで構成された吹奏楽というのは実はかなり久しぶりだった。
自分の学校からは誰もいなかったのでアウェイ感がそこそこあったが、かなり刺激的だった。
同い年でも上手い人は本当にたくさんいて、自分もこうして頑張っている人たちとともに頑張りたいと思った。

何よりも、同年代の方の新作を演奏するというのは、これもまた新鮮な体験で、とても楽しかった。

プログラムは以下の通り。(演奏順)

岩井 晴輝  :Departure
近藤 礼隆  :吹奏楽のための狂詩曲 〜九頭龍大神の伝説による
仮屋 賢一  :ブルグミュラーの主題による綺想曲
石川 健人  :Frozen Planet

尾方 凜斗  :パリンプセスト、あるいは重ね書きされた吹奏楽のための
上野 友裕  :渡り鳥
葛西 竜之介 :Filmscape

僭越だが、自分の言葉で曲のことを書きたい。(と思ったので書く。打ち上げで直接話せばいいものを笑)
まあ、あくまでそのなんというか、作曲家が書いた曲をどう解釈するのかというのは演奏家であっても聴衆であっても行うことである、というのと、あくまでこれは吉尾個人の感想でしかないので、(もちろんこれが全てになるはずもないが)こういう記事が色んなところで見えたらとても面白いなと思ったりもする。
何が言いたいかというと批評をしたいのではなくて、このような機会に恵まれて感じた感想を形に残し忘れたくないという、そういう気持ち。うん。

岩井 晴輝  :Departure
作曲者によると、この出発という言葉には卒業や別れ、旅立ちなど、あまり明るくない言葉のイメージを客観的に感じることがあるそうだ。「あるそうだ」というのは、岩井氏自身は出発という言葉に明るいイメージを持っており、それを音に具現化させたような音楽となっていたように思う。フラット調のマイルドな響きの中で、まさにこれから始まる旅への期待や希望の心の赴きをメロディに書いており、とても吹いていて心地良かった。優しい感性が曲全体に表れていたと思う。

近藤 礼隆  :吹奏楽のための狂詩曲 〜九頭龍大神の伝説による
近藤氏の曲は九頭龍大神をモチーフにした、日本ふうなテイストを軸にコンパクトな形式で綺麗にまとめていた。
おそらく、書こうと思えばもっと複雑に書くことも出来たはずであろうが、あえて程よい脱力を奏者に求めながら筆を進めていたように感じ、その余裕が、形式の美しさや旋律の叙情性に出ていたように感じる。かといって、では作品に面白みがないのかというと全くそんなこともなく、特に音色旋律というのだろうか、楽器の組み合わせから作られる和音やメロディの音色の妙には演奏しているこちらまで驚かされる場面も多く、これまたとても興味深い作品に仕上がったのではないかと思う。

仮屋 賢一  :ブルグミュラーの主題による綺想曲
サックス奏者からは、パガニ○ニ・ロストに似ているとの声も上がったが、とある旋律を元にして、そこから新たな楽曲として昇華させるという意味では確かに一致しているかもしれない。かといってオリジナリティがないのかというと全くそうではなく、シンフォニック・バンドのための作品としてはかなり面白い作品として仕上がったのではないかと思う。タイトルのブルグミュラーは作曲家で、特に25の練習曲はピアノの初学者にほぼ必ず用いられる教材。雑多な要素を一つの作品にまとめ上げるという難しさと、原曲の「練習曲」という学習者には少し距離を置きたい心理とが、絶妙に混ざり合っていたような、皮肉すら感じる、多面的にみて面白い作品だったように思う。

石川 健人  :Frozen Planet
タイトルはカッコいい横文字として決めたらしいが、結果として、Flozenというワードを強く意識した、緊張感に溢れた音楽になったのではないだろうか?普段、現代音楽を主に書いているとのことであったが、そのテイストの作品も聴いてみたいと思った。中間部のコラール、フローズンを意識したゆえ?の相反的な暖かく壮大な音世界がかなり印象的で、システマティックに音楽を書いていくこと、感性に頼りながら旋律のラインを紡いでいくことのバランスと語彙の広さに驚いた。

尾方 凜斗  :パリンプセスト、あるいは重ね書きされた吹奏楽のための
深い教養と多彩なアイデアに彩られた、ショート・展覧会の絵のような作品だと思った。この手の作品の1番の面白さは、演奏中の集中力の高さが生み出す空気感だと思う。それほど長くない演奏時間の中に、そう多くない(音楽の)場数であるはずだったのだが、まさに長い映像でも見たかのような充実を感じる作品だった。「重ね書き」という言葉を選び、それを器用に音楽にしたところもすごいなと思う、それはまさに、この曲の場面の中のさらに小さな段落とでも言おうか、その繊細な変化がまさに、静止画に動きの命が加えられたかのような、そんな錯覚すら感じた。

上野 友裕  :渡り鳥
今回の演奏会で最年少の作曲家であった上野氏の作品。プロフィールを見て驚愕したのだがかなりグローバルな人生を歩まれていて、そのような経験の側面も含めて、渡り鳥というタイトルに曲がマッチしたのではないかと思う。大胆な転調を繰り返し、その度に楽器やその組み合わせを多く使い分け、まさに鳥が様々な世界を冒険する図を見事に描き出していたと思う。ちなみにテナーサックス奏者目線でいうと、かなり重要なソロをこの曲には書き残しており、もうそれはそれは緊張した。何が緊張するって、その直前も普通にガンガン吹いてるのに、急に誰もいなくなって一人で吹き始めるっていうその緊張感な。笑 いやでも、若さゆえの柔軟性というか、その人柄と曲が本当によくマッチした曲だったと思う。

葛西 竜之介 :Filmscape
ラストは葛西氏のフィルムスケープ。映画音楽のような音楽ということで、そのような語彙に溢れた壮大な作品だったと思う。ここで自分の話をするのはちょっとアレだが、自分は映画音楽というものが大好きで、その手の巨匠の音楽というものをいつも聴いている。ジョン・ウィリアムズはもちろん、マニアックなところだとローザ・ミクローシュなんかも好きで、そういうテイストをもつオリジナルの作品を、迫力ある吹奏楽の形態で演奏できたのはとても嬉しかった。葛西氏は後期ロマン派の交響曲作曲家が好きだそうだが、この曲後半に出たアングレのソロのメロディは、マラ5の一楽章のメロディのリスペクトなのかな?少し似ている動きがあったのだが。


と、7曲分書いてみたが、どの作品もかぶるところがないなあと思う。
今回一緒に演奏したサックスのメンバーは、マッシュ、山口くん、森田くんと大変個性的なメンツが集まったが、みんな素晴らしかったので自分も負けずに頑張ろうと思いました。(感想が雑)

やっぱ新作演奏いいな、本当に楽しい。
名曲ももちろん面白い。音楽面白い!!!(雑)

【聴いた】リシエツキ

超世界的ピアニストにして、同い年…同い年か、、、笑

世の中にはスーパープレイヤーっていますね。
自分は自分なりに地道に頑張ることにしましょう。

特に、リシエツキオリジナルのブラームスのコラールとか、各声部の洗練された歌い込み、フォルテもただ鳴らすだけじゃなく「必要な」フォルテを必要なだけ使っている感じ。スマートだし、かっこいいなあ演奏。